【電力コラム】高くなる電気料金。最近の動向は?
作成日:2025.05.19 更新日:2025.05.19 公開日:2025.05.19

●電気料金の推移と政府支援の状況
「また値上がり!」の声が毎度のごとく聞こえてくる昨今。物価は毎月のように上昇を続けていますが、電気料金も同様です。原材料たるLNGや石炭などエネルギー価格の高騰、海外からの輸送費の増大、円安などが原因です。その背景には、長引くウクライナ戦争や米トランプ政権による経済の混乱などがあり、原因は複雑にからみ合って長期的に続く様相を呈しています。
さて、最近の電気料金の推移はどうなっているのでしょうか。政府からの補助等で上下動はあるものの、実質的には高止まりを続けています。
2021年以降、燃料費の高騰から上昇傾向を続けている電気料金ですが、2023年2月(1月請求分)から10月(9月請求分)まで、「激変緩和措置」の一環として政府が電気料金の補助を実施しました。
家庭用の使用電力量1kwhあたり7円、企業用で3.5円の補助です。これで、一般家庭で1カ月約2,000円程度の値下げが実現しました。電気料金が一気に下がったことを覚えておられる方も多いでしょう。
激変緩和措置は、2024年1月(2023年12月請求分)まで継続。
さらに、2024年5月までは家庭用で1kwhあたり3.5円、企業用で1.8円の補助が行われ、2024年6月(5月使用分)については、家庭用で1.8円、企業用で0.9円の補助が行われました。約1年半にわたって、電気・ガス料金、およびガソリン価格について政府補助が行われたことになります。
2024年7月から激変緩和措置は解除されましたが、2024年9月には「酷暑乗り切り緊急支援」として再開されました。8月・9月が低圧で1kwhあたり4.0円、高圧で2.0円、10月が低圧で1kwhあたり2.0円、高圧で1.0円の支援が実施されました。
また、2025年2月・3月には低圧で2.5円、高圧で1.3円、4月には低圧で1.3円、高圧で0.7円の支援が行われています。
今後は、夏にも支援が行われる予定です。
●財源は続くのか
この2年ほど電気料金は、支援が行われるたびに値下がりをし、支援が打ち切られると大きく値上がりする、といったパターンを繰り返しています。また、2024年5月には燃料調整額の値上がりに即して上昇しました。
支援が行われると生活への負担は幾分かは和らぎますが、「果たしてこれが根本的な解決になるのか。支援によって財政に影響が出て、政府財源が疲弊してしまうのではないか」という不安が生じます。
かといって、エネルギー価格の高騰はしばらく収まりそうにありません。節電も言われていますが、過去の経験から、過度な呼びかけは熱中症などの増加を生み、最近では「できる範囲で」というような温和な表現に変わってきています。
電気料金が上がる夏季と冬季に政府補助を実施、という傾向は今後もしばらく続くでしょう。心配なのは、政府補助が常態化し、国家財政の体力を奪ってしまうことです。
電気料金は生活に直結するだけあって、国民の関心も高いです。それゆえに早期の価格安定化を願ってやみません。